遺品整理業で独立・開業するには?資格や資金、開業前に知っておきたいこと

遺品整理

遺品整理業者の数は年々増加しています。単に「儲かりそう」というイメージで新規参入を決めるケースもありますが、遺品整理会社から独立して開業するケースもあります。
そこでこの記事では、遺品整理業で独立・開業するために必要な資格やスキル、集客方法などをご紹介します。

目次

遺品整理業の需要と市場規模

遺品整理とは、故人の遺品や家財道具を整理し、処分や買い取りなどを行うサービスです。
遺品整理業の需要は高齢化社会や相続問題などにより増加傾向にあります。遺品整理業の市場規模は明確な統計はありませんが、2021年度の国内死亡者数が約140万人のため、決して市場規模は小さくはないでしょう

遺品整理業の開業で必要な資格・許可4選

遺品整理業の開業には、いくつかの資格が必要になります。
すべての資格がなければ立ち上げられないというわけではありませんが、遺品整理業の経営において資格情報は正しく知っておきましょう。

  • 古物商許可
  • 一般廃棄物収集運搬業許可
  • 産業廃棄物収集運搬業許可
  • 遺品供養士

古物商許可

遺品整理で発生する貴重品や骨董品などを買い取る場合は、都道府県公安委員会から古物商許可を取得する必要があります。
古物商許可を取得するためには、申請書や身分証明書・印鑑登録証明書・事務所・倉庫の写真などを提出し、審査を受ける必要があります。申請料は19,000円で、住民票や身分証明証などの提出が必要です。

一般廃棄物収集運搬業許可

遺品整理で発生する一般廃棄物(家具や衣類など)を自社で収集・運搬する場合は、市区町村から一般廃棄物収集運搬業許可を取得する必要があります。
一般廃棄物収集運搬業許可を取得するためには、申請書や事務所・倉庫・車両・洗車場の写真などを提出し、審査を受ける必要があります。ただし、新規で申し込みをしても許可が下りないのが現実です。
一般廃棄物収集運搬業許可を取得しない場合は、許可業者に委託するか、相続人(依頼者)自身に処分してもらう必要があります。

産業廃棄物収集運搬業許可

遺品整理で発生する産業廃棄物(家電やパソコンなど)を自社で収集・運搬する場合は、都道府県知事から産業廃棄物収集運搬業許可を取得する必要があります。

こちらも、産業廃棄物収集運搬業許可を取得しない場合は、産業廃棄物処分会社に委託するか、相続人(依頼者)自身に処分してもらう必要があります。

遺品供養士

遺品供養士とは、一般社団法人 遺品供養カルチャー協会が認定する資格です。遺品整理の基礎知識やマナー、遺品供養、法律、グリーフケアなどを学び、試験に合格することで取得できます。
遺品供養士の資格は開業に必須ではありませんが、信頼性や知名度の向上に役立ちます。また、一般社団法人 遺品供養カルチャー協会の会員になることで、研修や情報交換などのサポートを受けることができます。

遺品整理業で必要なスキル・知識3選

資格や許認可ではありませんが、その他にも持っておくべきスキルや知識も、開業するためには必要です。

コミュニケーションスキル

遺品整理業では、故人の家族や親族と密接に関わることになります。そのため、依頼者の気持ちや状況を汲み取り、丁寧かつ配慮のある対応が求められます。見積もり料金の安さだけでは、成約を取ることができない業界です。
コミュニケーションスキルを高めるためには、聞き上手になることや相手目線で話すことが大切です。また、感情的にならず冷静さを保つことも重要です。

業務管理スキル

遺品整理業では、現場調査や見積もり、作業計画やスケジュール、収支管理や請求書発行など、多くの業務をこなす必要があります。特に、開業当初はこれらの業務をすべて自分で行わなければいけないこともあります。
業務管理スキルを高めるためには、効率的な時間管理や優先順位付け、チェックリストやテンプレートの活用などが有効です。また、デジタルツールやクラウドサービスなども活用しましょう。

税務知識

そして、所得税や消費税、相続税などの税務知識も必要です。特に買い取りした品物の売却益や依頼者から受け取った報酬は所得として申告する必要があります。
税務知識を身につけるためには、税理士などの専門家や税務署に相談することや、書籍などで勉強することが大切です。

遺品整理業3つの開業方法

では、遺品整理業を開業するためには、どうすればいいのでしょうか。

資金調達方法

遺品整理業の開業資金は、100~200万円ほどあれば何とか可能です。主な費用は、トラックや作業用具、事務所や倉庫の家賃などです。もし余裕があるなら300~400万円ほど開業資金あれば更に回転資金が助かります。
資金調達方法としては、自己資金や借入金などがあります。自己資金はリスクが低いですが、準備に時間がかかります。借入金は利息がかかりますが、迅速に資金を調達できます。

助成金や補助金の活用方法

遺品整理業の開業には、助成金や補助金を活用することもできます。例えば、日本政策金融公庫の新創業融資制度では、担保・保証人不要で最大3000万円まで借り入れが可能です。
他にも、地域経済活性化支援機構(REVIC)や日本政策投資銀行(DBJ)などからも融資を受けられる場合があります。また、自治体や商工会議所などからも補助金や相談窓口などの支援を受けられる可能性もあります。

事務所や倉庫の確保方法

遺品整理業では、事務所や倉庫を確保する必要があります。事務所は電話対応や見積もり作成などの事務作業を行う場所であり、倉庫は遺品の一時保管や買い取りしたリサイクル品・リユース品・寄付などの処理を行う場所です。
倉庫を持たず、現場やトラック内で仕分けをして直接リサイクル工場やリユース受入れ場に搬入することも可能ですが、小さくても倉庫は契約しておくと多くの仕事を受けられます。

遺品整理業3つの集客方法

遺品整理業は、競合も多く集客に苦労している業者も少なくありません。そこで、基本となる集客方法を3つ紹介します。

ホームページやSNSの活用

ホームページは、遺品整理業の集客に欠かせないツールです。多くのお客様は、インターネットで検索して遺品整理業者を探します。そのため、ホームページやブログを作成し、SEO対策やコンテンツマーケティングを行うことが重要です。
また、この後ご紹介するポータルサイトでの集客においてもホームページは必須と言えます。
SNSも有効な集客手段です。FacebookやTwitterなどで情報発信や口コミ拡散を行うことで、認知度や信頼度を高めることができます。

ポータルサイトへの登録

ポータルサイトとは、複数の遺品整理業者が登録し、お客様が比較・見積もり依頼できるサイトです。例えば、「みんなの遺品整理」や「くらしのマーケット」などがあります。
ポータルサイトへの登録は、お客様から直接問い合わせが来る可能性が高まります。また、他社と比較されることで自社の強みや特徴をアピールするチャンスにもなります。
ただし、成約すると20%以上の手数料が発生するため、利益率を高く保つには自社での集客がポイントになります。

紹介や口コミの獲得

遺品整理業は感情的にもデリケートなサービスです。そのため、お客様は信頼できる業者を探す傾向があります。そこで重要になるのが紹介や口コミです。

紹介や口コミは信頼性が高く効果的な集客方法です。そのため、仕事の質や対応力を高めるだけでなく、積極的に紹介依頼や口コミ投稿依頼を行うことが大切です。

まとめ

遺品整理業を開業するために必要となる資格はあまり多くはありません。しかし、知識や集客経路がなければ、お客様を集めることはできません。
開業自体は難しくない遺品整理ですが、健康経営のためには自社でのホームページ集客やSNSの活用がポイントになります。

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この記事を書いた人

MINDのアバター MIND 代表

2008年より遺品整理・特殊清掃の業務に関わって今日までたくさんのノウハウを蓄積出来ました。2023年には清掃業界の先進国であるアメリカへ渡り、RSAで研修を受け【TCST】Trauma and Crime Scene Technician (特殊清掃)や【FSRT】Fire and Smoke Damage Restoration Technician (火災復旧)に関する『IICRC』認定の国際資格を取得しております。
記事を通じて私の想いが伝われば幸いです。

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