遺品整理でよくある相続トラブルとは?トラブル防止策や相続放棄についても解説

相続会議

遺品整理は、相続人同士のトラブルが発生しやすい場面でもあります。
「勝手に処分された」「価値ある品物の扱いで揉めた」「相続放棄したのに整理を手伝ったら法的問題が生じた」など、予想外の問題に直面する方は少なくありません。
本記事では、遺品整理の現場でよく起こる5つの典型的なトラブル事例と、それらを未然に防ぐための具体的な対策を解説します。
遺言書に関する問題から所有権をめぐる対立、不動産関連のトラブル、独断での処分によるリスク、さらには想定外の相続人出現まで、実際に起こりうる状況と解決法を紹介します。また、相続放棄の期限や手続き、空き家放置のリスク、タンス預金の扱いなども併せて解説しています。

目次

遺品整理でなぜ「もめる」のか

遺品整理は単なる物の片付けではなく、相続という法的側面も持ち合わせた複雑な作業です。この過程で親族間のトラブルが発生するケースは決して珍しくありません。
多いのは「勝手に処分された」という不満から生じる対立です。思い出の品や価値ある物の扱いについて、相続人それぞれの認識や感情の違いが、予想以上の亀裂を生むことがあります。
貴重品や現金が見つかった際の取り扱いをめぐる「ネコババ疑惑」も根深いトラブルの種となります。

遺品整理でよくある相続トラブル5選

この章では、遺品整理の現場でよく起こる5つの典型的なトラブル事例と、それらを未然に防ぐための具体的な対策をご紹介します。

①遺言書に関するトラブル

遺言書は故人の最後の意思表示として重要な法的文書ですが、その存在や内容をめぐって相続人間でトラブルが発生することがあります。

【遺言書トラブルの主な原因】
  • 遺言書の存在自体が知られていない
  • 複数の遺言書が見つかり最新のものが不明
  • 手書きの遺言書で内容が不明確
  • 法的要件を満たしておらず無効となるケース

遺言書が見つからないまま遺品整理を進めると、後から発見された場合に大きな混乱を招きます。整理の初期段階で、故人の書類や金庫など重要書類がありそうな場所を丁寧に確認することが大切です。

遺言書の内容が法的に有効かどうかも重要なポイントです。自筆証書遺言の場合、日付や署名、押印がなかったりすると無効になることがあります。また、内容が曖昧で解釈に幅がある場合も、相続人同士で意見が対立しやすくなります。

トラブルを防ぐには、遺言書が見つかった場合、まずは家庭裁判所での検認手続きを行い、専門家(弁護士や司法書士)に内容の確認と適切な手続きについて相談することをおすすめします。相続人全員で内容を共有し、故人の意思を尊重する姿勢を持つことが、争いを防ぐ鍵となるでしょう。

②遺品の所有権の問題

遺品整理の過程で頻繁に発生するのが、「これは誰のものになるのか」という所有権をめぐる対立です。

【所有権トラブルが起きやすい品目】
  • 高価な宝飾品や美術品
  • 家族の写真やアルバム
  • 思い出の詰まった手紙や日記
  • 先祖代々の家宝
  • デジタル機器に保存された情報

法的には、故人の遺産は相続人全員の共有財産となりますが、形見分けの際には金銭的価値だけでなく、精神的な価値も考慮する必要があります。例えば、市場価値は低くても特定の相続人にとって思い出深い品物については、その思いを尊重することが争いを防ぐ一助となります。

特に問題となりやすいのは、故人が生前に特定の人に「これはあなたにあげる」と言っていた場合です。法的には生前贈与の証拠がなければ相続財産となりますが、故人の意向を無視すれば感情的な対立を招くことになります。

③不動産関連のトラブル

不動産は相続財産の中でも高額であり、分割が困難なため、多くのトラブルが発生します。遺品整理という観点からも、故人が住んでいた家の処遇は大きな課題となります。

【不動産相続で生じやすい問題】
  • 共有不動産の管理・処分方法の対立
  • 実家に住み続ける相続人と売却したい相続人の意見対立
  • 借地権や賃貸借契約が絡む複雑な権利関係

典型的なケースとして、親の家に同居していた子が「住み続けたい」と主張する一方、他の相続人は「公平に分割するため売却すべき」と主張するパターンがあります。また、古い家屋の場合、解体費用や維持費の負担をめぐる対立も珍しくありません。

④勝手に遺品を処分することによるトラブル

遺品整理の過程で、相続人の一部が独断で遺品を処分してしまうケースがあります。善意からの行動でも、他の相続人との間で深刻なトラブルに発展することがあるので注意が必要です。

【独断処分による主なトラブル】
  • 他の相続人が見たかった思い出の品が処分される
  • 価値ある品が安価に売却されてしまう
  • 重要書類が誤って廃棄される
  • 処分行為が法的に「相続の単純承認」とみなされる

特に問題となるのは、価値の判断が難しい品物です。一見すると古い茶碗に見えても、実は骨董的価値があるケースや、故人の趣味のコレクションが予想外の価値を持つことも少なくありません。また、デジタル機器に保存された写真やデータを、中身を確認せずに処分してしまうケースも多いようです。

また、相続放棄を考えている場合は特に注意が必要です。遺品を処分する行為が「相続の承認」とみなされ、相続放棄ができなくなる可能性があります。この場合は、弁護士などの専門家に相談し、法的に問題のない範囲での対応を心がけましょう。

⑤隠し子や第三者の出現

遺品整理の過程で、想定外の相続人や利害関係者が現れるケースがあります。特に故人の隠し子の存在が判明したり、内縁関係にあった人物が名乗り出たりすることで、相続関係が大きく変わることがあります。

【第三者出現による影響】
  • 法定相続人の範囲や相続分の変更
  • すでに進めていた遺産分割協議のやり直し
  • 新たな利害関係者との交渉の必要性
  • 戸籍上の手続きの複雑化

隠し子が現れた場合、法的には実子として相続権を有するため、既存の相続人の相続分が減少することになります。また、内縁の配偶者は法定相続人ではありませんが、特別縁故者としての権利を主張してくる可能性があります。

こうした事態を早期に把握するためには、遺品整理の初期段階で故人の戸籍謄本や住民票、手紙や写真などの個人的な資料を丁寧に確認することが大切です。また、故人が他に生活拠点を持っていないか、定期的に送金していた先はないかなど、生活状況についても調査しておくとよいでしょう。

万が一、新たな相続人や利害関係者が現れた場合は、感情的な対応を避け、法的な手続きに則って冷静に対応することが重要です。必要に応じて弁護士などの専門家に相談し、DNA鑑定なども視野に入れた対応を検討すべきでしょう。

遺品整理における相続トラブルの防止策4選

遺品整理で一度こじれた関係は修復が難しく、裁判に発展するケースも珍しくないのが現状です。しかし、事前の準備と適切な対応によって、多くのトラブルは未然に防ぐことができます。

この章では、遺品整理で起こりやすい相続トラブルを防止するための具体的な方法を解説します。

①相続人全員で事前の話し合いを行う

相続トラブルを防ぐ最も効果的な方法は、遺品整理を始める前に相続人全員で話し合いの場を持つことです。この段階での丁寧なコミュニケーションが、後のトラブルを大きく減らす鍵となります。

【事前に話し合うべき重要事項】
  • 整理作業の役割分担と進め方
  • 形見分けのルールと優先順位
  • 処分する品物の判断基準
  • 整理にかかる費用の負担方法
  • 期限や作業スケジュール

話し合いは可能な限り相続人全員が参加できる形で設定し、遠方に住む方はオンラインで参加してもらうなどの配慮も大切です。

話し合いの内容は必ず記録に残し、可能であれば議事録として参加者全員に共有しておくとよいでしょう。こうした透明性のある進め方が、相互の信頼を築き、円滑な遺品整理につながります。

②遺言書を確認する

故人が遺言書を残していた場合、その内容は法的に尊重されなければなりません。遺品整理の早い段階で遺言書の存在を確認することは、相続トラブルを防ぐ上で重要です。

【遺言書確認のポイント】
  • 自宅や遺品の中を探す
  • 公正証書遺言があるか公証役場に問い合わせる
  • 自筆証書遺言が保管されているか法務局に問い合わせる

遺言書が見つかった場合、まずはその有効性を確認する必要があります。自筆証書遺言の場合、日付・氏名・押印が揃っているかをチェックします。不安がある場合は、法律の専門家に相談するとよいでしょう。
また、自筆証書遺言の場合は、家庭裁判所での「検認」という手続きが必要です。これは遺言書の内容を確定し、改ざんを防ぐための重要な手続きなので、忘れずに行いましょう。公正証書遺言の場合は検認は不要です。
遺言書の内容が明らかになったら、相続人全員でその内容を共有し、故人の意思を尊重する方向で遺品整理を進めることが大切です。

③必要に応じて専門家に相談する

遺品整理に関連する相続や法的手続きは複雑なため、専門家のアドバイスを受けることで多くのトラブルを回避できます。特に大きな財産や不動産がある場合、相続人が多い場合は、早い段階での専門家への相談がおすすめです。

【相談すべき専門家とその役割】
  • 弁護士:法的トラブルの対応、遺産分割協議のアドバイス
  • 司法書士:不動産の名義変更、相続登記の手続き
  • 税理士:相続税の申告、財産評価のアドバイス
  • 行政書士:各種許認可や契約書類の作成
  • 不動産鑑定士:不動産の適正評価

専門家に相談する際は、相続人全員で同席するか、少なくとも全員の同意を得た上で進めることが重要です。一部の相続人だけが専門家と接触し、有利な情報を得ているという不信感が生まれると、新たなトラブルの種になりかねません。

また、複数の分野にまたがる問題の場合は、それぞれの専門家に個別に相談するよりも、「相続専門」を掲げる法律事務所や税理士事務所に相談するとワンストップで対応してもらえることが多いです。費用はかかりますが、後のトラブル回避や時間的・精神的負担の軽減を考えれば、適切な投資といえるでしょう。

④遺品整理業者に依頼する

遺品整理を相続人だけで行うと、作業の負担や判断の違いからトラブルに発展することがあります。専門の遺品整理業者を利用することで、こうしたリスクを軽減できるケースも多いでしょう。

【遺品整理業者活用のメリット】
  • 中立的な立場で整理作業を進められる
  • 専門的な知識で遺品の価値を適切に判断できる
  • 相続人間の感情的な衝突を避けられる
  • 効率的な作業で時間と労力を節約できる

業者を選ぶ際は、複数の会社から見積もりを取り、サービス内容を比較することが大切です。「遺品供養士」などの資格を持つスタッフがいる業者や、相続に関する基本的な知識を持った業者を選ぶとよいでしょう。また、料金体系が明確で、追加料金の発生条件なども事前に説明してくれる誠実な業者を選ぶことが重要です。

業者に依頼する前に、相続人全員で「どの品物は必ず残す」「どの品物は処分してよい」などの基準を明確にし、業者に伝えておくことがポイントです。特に思い出の品や価値あるものについては、事前に写真を撮って記録しておくとトラブル防止になります。

特殊清掃が必要な場合は、マインドカンパニーにご相談を

孤独死の現場や事故物件、長期間放置された空き家など、一般の清掃では対応できない状況に直面したとき、プロの特殊清掃サービスが必要です。そんなとき頼りになるのが、首都圏を中心に活動するマインドカンパニーです。

最大の強みは「消臭・除菌技術」にあります。通常の掃除では取り切れない深刻な臭いや菌の問題に対して、アメリカで学んだ先進技術を駆使した徹底的な対策を施します。IICRC認定の国際資格保持者が在籍し、科学的アプローチで環境を復元します。

2,000件を超える特殊清掃実績から生まれた「準備力」も誇りです。業界がまだ発展途上にある中、必要な機材や知識を完備し、どんな現場にも対応できる体制を構築しています。現場ごとに最適な機材と薬剤を選定する細やかな対応が高い評価を得ています。

受付は年中無休、8:00~20:00まで。メールは24時間対応しています。衛生面での安心を提供する信頼のパートナーとして、困ったときはぜひご相談ください。

遺品整理は誰が担当する?メリットと注意点

遺品整理は「誰が担当すべきか」という問いに、明確な答えはありません。相続人自身が行うケース、専門業者に依頼するケース、あるいは相続人以外の親族や知人が手伝うケースなど、状況によって最適な選択は異なります。

それぞれの方法にはメリットと注意すべき点があり、故人との関係性や遺品の量、相続人の状況などを総合的に判断する必要があります

遺品整理を自力で行う場合

相続人自身や家族が中心となって遺品整理を行うことにはメリットがある一方、精神的・肉体的な負担も伴うため、計画的に進める必要があります。

【自力整理のメリット】
  • 費用を大幅に抑えられる
  • 思い出の品を丁寧に選別できる
  • 自分のペースで進められる
  • 故人との対話を通じて心の整理ができる
  • 大切な書類や価値ある品を見落とすリスクが少ない

遺品整理業者に依頼すると数万円から数十万円の費用がかかりますが、自力で行えばこの費用を節約できます。また、業者では判断できない「思い出の価値」を自分たちで見極められるのも大きな利点です。故人の趣味や性格を知る家族だからこそ、その品物に込められた思いや背景を理解できることもあります。

一方で、自力での整理には以下のような課題もあります。

【自力整理の注意点】
  • 作業負担が大きく時間がかかる
  • 遺品と向き合う精神的ストレスが強い
  • 家族間で意見が対立するリスクがある
  • 専門的な処分方法がわからないことも

遺品整理は想像以上に時間と労力を要する作業です。大量の荷物を仕分け、搬出し、適切に処分するという一連の流れは、数日から数週間かかることも珍しくありません。また、故人の思い出に触れることで悲しみが再燃し、作業が進まないこともあります。

自力で整理する場合は、作業スケジュールに余裕を持たせ、事前に役割分担を決めておくことが大切です。

遺品整理業者に依頼する場合

遺品整理の専門業者に依頼することで、作業の負担を大幅に軽減できます。特に遠方に住んでいる場合や、時間的余裕がない場合には有効な選択肢となります。

【業者に依頼するメリット】
  • 専門的な知識と技術で効率的に作業が進む
  • 精神的・肉体的な負担が軽減される
  • 遺品の価値判断や買取も同時に行える
  • 特殊な処分が必要な品目も適切に対応
  • 清掃まで一括して依頼できる

プロの業者は、自分たちで数日かかる作業を短時間で終わらせられます。また、価値ある品物の買取も行ってくれる業者もあり、処分費用の一部を相殺できることもあるでしょう。特に孤独死などの特殊清掃が必要なケースでは、専門業者の技術が不可欠です。

しかし、業者に依頼する際にも注意すべき点があります。

【業者に依頼する際の注意点】
  • 一定の費用がかかる(間取りや遺品量による)
  • 業者の質や対応に差がある
  • 貴重品や思い出の品の扱いに不安がある
  • すべてを任せると後悔することもある
  • 追加料金が発生するケースもある

遺品の量によっては数万円から100万円を超えるケースもあります。また、悪質な業者に依頼すると、高額請求や大切な品の紛失といったトラブルに発展する可能性もあります。

業者選びのポイントは、複数社から見積もりを取り、料金体系や作業内容を比較することです。また、「遺品整理士」などの資格を持つスタッフがいるか、実績や口コミはどうか、見積り内容は明確かなどをチェックしましょう。

相続人以外が動くときの注意点

相続人以外が遺品整理を手伝ったり代行したりするケースもありますが、法的・感情的なトラブルを避けるためにいくつかの重要な注意点があります。

【相続人以外が関わる際の注意点】
  • 相続人全員の同意を得ることが絶対条件
  • 財産価値のある品の処分は控える
  • 作業内容や進捗を逐一報告する
  • 勝手な判断で処分しない

最も重要なのは、相続人全員の同意を得ることです。たとえ善意からの行動でも、無断で遺品に手を付けると「横領」と見なされるリスクがあります。特に価値ある品物を処分したり持ち帰ったりする行為は、トラブルの原因となります。

遺品整理の過程で見つかった現金や貴重品は速やかに相続人に報告し、その扱いについて指示を仰ぐべきです。

事前に知っておくべき相続放棄や税金に関する注意点

相続放棄を検討している場合や、故人の財産に不動産が含まれる場合、また予期せぬ現金や貴重品が見つかった場合には、事前に法的知識を持っておくことが重要です。

知らないまま進めてしまうと、意図せず「相続の承認」とみなされたり、不要な税金を支払うことになったり、将来的に大きな負担を背負う可能性もあります。

この章では、遺品整理を始める前に知っておくべき相続放棄の手続きや期限、空き家問題、税金に関する基礎知識を解説します。専門的な話になりますが、後々のトラブルを避けるために、押さえておきたいポイントです。

相続放棄の期限と手続き

相続放棄は「被相続人の権利義務を一切引き継がない」という法的手続きです。特に故人に借金や負債がある場合、この制度を利用することで債務を引き継がずに済みます。しかし、その手続きには厳格な期限や条件があります。

【相続放棄の基本ルール】
  • 相続開始を知った日から3ヶ月以内に申述が必要
  • 家庭裁判所への申立てが必要
  • 相続財産を処分すると「単純承認」とみなされる可能性
  • 放棄すると相続人としての権利も一切失う

最も注意すべきは「相続財産の処分」と「相続放棄」の関係です。遺品整理を進めるうちに、知らず知らずのうちに「相続の承認」とみなされるケースがあります。例えば、故人の預金を引き出す、不動産を賃貸に出す、価値ある品物を売却するなどの行為が「相続の承認」と解釈される可能性があります。

相続放棄を検討している場合、遺品整理を始める前に弁護士や司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。必要な書類(戸籍謄本など)の準備方法や申述書の記載方法、また遺品整理をどこまで行っても問題ないかなど、具体的なアドバイスをもらうことが大切です。

実家や空き家を放置するリスク

故人の住んでいた家、特に実家や空き家を相続した場合、すぐに活用や処分の判断ができないケースは少なくありません。しかし、こうした不動産を長期間放置することには、予想以上の様々なリスクが伴います。

【空き家放置の主なリスク】
  • 固定資産税・都市計画税の継続的な負担
  • 建物の老朽化による資産価値の下落
  • 管理不全による近隣トラブルの発生
  • 空き家特措法による「特定空き家」指定の可能性
  • 不法侵入や放火などの犯罪リスク

特に注意すべきは税金の問題です。不動産を相続すると、使用の有無にかかわらず固定資産税などの支払い義務が発生します。さらに「空き家対策特別措置法」により、管理が不適切な空き家は「特定空き家」に指定され、固定資産税の優遇措置が解除されて最大6倍に増額することもあります。

また、管理されていない家屋は急速に劣化します。雨漏りや害虫の発生、庭木の繁茂などにより、周辺環境にも悪影響を与え、近隣住民からの苦情や行政指導につながる可能性もあります。さらに、空き家は不法投棄や不法侵入、放火などの犯罪の標的になりやすいという防犯上の問題もあります。

このようなリスクを避けるためには、相続後なるべく早く活用方法を決定することが大切です。選択肢としては、自分で住む、賃貸に出す、売却する、解体するなどがあります。

どの選択肢が最適かは、立地条件や建物の状態、相続人の状況によって異なるため、不動産会社や税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

出典:国土交通省|空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律(令和5年法律第50号)について

タンス預金や形見の買取り

遺品整理中に意外な「タンス預金」や価値ある品物が見つかることは少なくありません。これらの発見は嬉しい驚きになる一方、適切に取り扱わなければ相続税や法的問題が生じる可能性もあります。

【発見時の注意点】
  • 現金や貴重品は相続財産として記録・保管する
  • 相続人全員への公平な報告が重要
  • 相続税申告が必要になる可能性がある
  • 無断での処分は横領とみなされることも
  • 買取業者の選定は慎重に行う

タンス預金(現金)や貴金属、美術品などが見つかった場合、まずはその価値を正確に把握し、すべての相続人に報告することが大切です。特に相続税の基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人数)を超える可能性がある場合は、税理士に相談して適切な申告手続きを行いましょう。

価値ある品物を買取に出す場合も注意が必要です。相続人全員の合意のない状態での売却は、後でトラブルになる可能性があります。

また、買取業者選びも重要です。複数の専門業者から見積もりを取り、適正価格で取引できる信頼性の高い業者を選びましょう。特に骨董品や美術品は、一般の遺品整理業者では適正評価が難しいこともあるため、専門の鑑定士に査定を依頼することも検討すべきです。

相続放棄を検討している場合は特に慎重な対応が必要です。価値ある品物の処分は「相続の承認」とみなされる可能性があるため、弁護士などの専門家に相談してから行動するべきでしょう。

出典:政府広報オンライン|相続税はいくらから?基礎控除とは?相続税の基本を確認!

遺品整理のトラブルについてよくある質問

ここでは、遺品整理のトラブルについてよくある質問に回答していきます。

遺品を勝手に処分されてしまったら、損害賠償は請求できますか?

遺品を無断で処分された場合、法的には損害賠償請求が可能です。遺品は相続財産の一部として相続人全員の共有財産となるため、他の相続人や第三者が勝手に処分することは法律違反となります。

損害賠償を請求する際に重要なのは、処分された遺品の存在と価値を証明できるかどうかです。写真や購入時のレシート、鑑定書などの証拠があれば有利に進められますが、証拠がない場合は立証が難しくなります。

遺産相続で遺品整理の費用は誰が負担すべきですか?

遺品整理にかかる費用は原則、相続人が負担することになっています。相続人とは、被相続人の財産や負債を相続する立場にある配偶者・子ども・直系尊属(親や祖父母)・兄弟姉妹などを指します。

続人が複数いる場合、遺品整理の費用は分割するのが一般的です。分担方法としては、各相続人の法定相続分に応じた分割か、相続人同士の協議による分割が考えられます。

費用負担を決める際は、事前に全員で見積もりを確認し、明確な金額を把握することが重要です。また、遺品整理の実務を誰が行うかも費用分担に影響します。遠方に住む相続人の交通費や、近隣に住む相続人の労力なども考慮すべき要素です。

まとめ

遺品整理では、遺言書に関するトラブル、遺品の所有権をめぐる対立、不動産関連の問題、勝手な処分によるリスク、想定外の相続人出現など、さまざまな課題がありますが、これらは適切な対応で防ぐことができます。

トラブル防止の鍵となるのは、事前の話し合い、遺言書の確認、専門家への相談、そして必要に応じた遺品整理業者の活用です。

特殊清掃が必要な場合は、マインドカンパニーのようなプロの技術を持つ業者の利用も検討すべきです。消臭・除菌技術と豊富な実績を持つ専門家に依頼することで、通常の清掃では対応できない問題も解決できます。

遺品整理は故人への最後の務めであると同時に、残された家族の絆を守る大切な機会でもあります。本記事が、トラブルのない円滑な遺品整理のお役に立てれば幸いです。

相続会議

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

MINDのアバター MIND 代表

2008年より遺品整理・特殊清掃の業務に関わって今日までたくさんのノウハウを蓄積出来ました。2023年には清掃業界の先進国であるアメリカへ渡り、RSAで研修を受け【TCST】Trauma and Crime Scene Technician (特殊清掃)や【FSRT】Fire and Smoke Damage Restoration Technician (火災復旧)に関する『IICRC』認定の国際資格を取得しております。
記事を通じて私の想いが伝われば幸いです。

目次