高齢化社会が進むに連れ、ここ10~20年で遺品整理業者の数は非常に増えています。
業者が増えることは、消費者にとって選択肢の幅が広がることに加え、料金相場も下がってくるため大きなメリットがあります。その一方で、悪徳業者と言われるような粗悪な業者の数も増えてしまっているという現状もあります。
そこで本記事では、遺品整理を任せる業者選びのチェックリストをご紹介します。
そもそも遺品整理はどこに依頼すればいい?
チェックリストの前に、遺品整理を依頼できる業者について知っておく必要があります。
遺品整理を依頼できるのは、大きくわけて以下の3つの業者で、それぞれに費用や作業内容に特徴があります。
- 遺品整理業者
- 不用品回収業者
- 便利屋・何でも屋
遺品整理業者
まず第一候補になるのが、遺品整理を専業としている「遺品整理業者」です。
もっともスタンダードな選択肢で、トラブルが少ないのが遺品整理業者でしょう。
専業の業者のため、家財の少ない1Rや1Kから、2トントラック5台以上の戸建てまで、幅広い遺品整理の依頼に対応が可能です。
ただし、不用品回収業者や便利屋・何でも屋と比較すると、費用は高額になる傾向にあります。
その理由としては、遺品をゴミとしては扱わず、再利用できるものはしっかりとリサイクル・リユースできる形で仕分けし、家財の搬出後はそのまま物件を引き渡しできる状態まで清掃することも作業に含まれているためです。
そのため、不用品回収業者や便利屋・何でも屋と費用比較する際は、その後の原状回復やルームクリーニングの費用も込みで比較する必要があります。
不用品回収業者
次に選ばれることが多い選択肢が、不用品回収業者です。自宅にチラシが投函されていた経験がある方も多いかと思います。
不用品回収業者に遺品整理を依頼する最大のメリットは、費用の安さです。
「トラック(軽トラック)に積み放題で5万円」といったサービスをしていることも多く、遺品の仕分け等が完了した家財の処分には最適な業者といえるでしょう。
ただし、不用品回収業者はトラブルが多いことも事実で、以下のようなトラブルも報告されています。
- 回収は無料だが、トラックへの積み込みは有料と積み込み後に請求
- 依頼していない家財まで運び出されて盗難被害に遭う
- 回収した不用品が不法投棄される
すべての不用品回収業者がこういった行為をしているわけではありませんが、トラブルの件数が多いことは認識しておくべきでしょう。
便利屋・何でも屋
最後に、便利屋や何でも屋と呼ばれる個人・個人を派遣する会社です。
くらしのマーケットやココナラなど、スキルマーケットと呼ばれる個人に依頼できるサービスが普及したこともあり、近年また増えてきている業態です。
家財の処分はできないため、仕分けや搬出を手伝ってもらい、家庭ごみとして遺品を処分することになります。
1人分の人件費で支払いが済むため費用は安いですが、分別した家財を自治体のルールにあわせて自分で処分する必要があります。
遺品整理の依頼で失敗しないためには基礎知識が重要
遺品整理業者への依頼で失敗をしないためには、遺品整理についての最低限の知識は知っておきましょう。
決して安くはない費用を支払うため、自衛のためにも基礎知識をもっておくことは重要です。
費用相場
必ず知っておきたいのが、遺品整理の費用相場です。
遺品整理の費用は、荷物の量や必要な人数によって見積もりが行われます。
費用相場としては、2トントラック1台あたり10~20万円で、間取りごとの費用相場は以下のようになります。
間取り | 料金(税別) |
---|---|
1R | 35,000円~150,000円 |
1DK | 35,000円~225,000円 |
1DK・2DK | 50,000円~300,000円 |
2LDK・3DK | 80,000円~525,000円 |
3LDK・4DK | 120,000円~750,000円 |
4LDK・5DK | 150,000円~1,050,000円 |
ただし、貴金属やブランド品など、高く買い取りできるものが多い場合や、逆にゴミ屋敷のように家財が大量に積み上がっている場合など、上記の費用相場から大きく外れるケースもあります。
そのためにも、事前の現地見積もりが必要なのです。
必要人数
遺品整理の作業の流れを業者目線で解説すると、以下のようになります。
- 現場へと向かう
- 準備・養生作業
- 遺品整理の仕分け・搬出・積み込み
- ルームクリーニング
- 確認・引き渡し
- 会社・事務所へと帰社
- 家財の積み下ろし・分別
多くの場合は、この1~7までの作業を1日で完了させなければいけないため、ほとんどの遺品整理は1人では終わらせることができません。
そのため、トラック1台につき1~3名、玄関からトラックまでの距離が長ければそれ以上の人数が必要となります。
しかし、悪徳業者は人件費を請求するために過剰に人数を多くしたり、反対に経験のない担当者だと人数が少なて予定の時刻に終わらない可能性もあります。
見積もりの際には、必要人数の妥当性も確認して、適切な作業をしてもらえるようにしましょう。
見積もり
遺品整理の見積もりは、依頼をしない限りは無料であることが原則です。
一部の悪徳業者は、「作業の依頼をすれば無料、見積もりのみは有料」と言ってくることがあります。家に上げてしまっているため、つい支払ってしまう方もいますが、「消費相談センターに相談する」等と伝え、毅然とした対応をとるようにしましょう。
そういった悪徳業者に引っかからないためにも、口コミ等をチェックして信頼できる遺品整理業者にのみ、見積もり依頼をすることが重要です。
悪徳業者に騙されない!遺品整理の依頼時チェックリスト
ここから、本題の遺品整理の依頼時チェックリストを紹介します。
最終的には、電話や見積もり時の対応で信頼できるのかを確認して決めていただくことになりますが、これらを抑えておくと少なくとも悪徳業者に騙されることはないでしょう。
1.オペレーターと現場スタッフの対応に相違がないか
遺品整理業者に電話をかけた際、対応するのはオペレーターや現場スタッフなどさまざまです。
各スタッフの対応の仕方や言葉遣い、情報の正確さから、その業者の企業文化や研修の有無、スタッフの教育レベルなどが伺えます。
プロフェッショナルな対応をする業者は、客の不安を解消しやすく、信頼につながります。一方で、不明確な回答や不親切な対応は警戒が必要です。
2.「名前、電話番号」などを復唱されたか、電話応対マナーを確認
電話での問い合わせ時、業者が名前や電話番号を正確に復唱するかは、その業者の対応の丁寧さを示す重要なポイントです。この小さな配慮が、業者がどれだけ細部にわたって気を遣えるかの指標となります。
また、応対中の言葉づかいや待たせ時間、質問に対する回答の具体性も重要な判断基準です。
これらのマナーがしっかりしている業者は、作業も丁寧に行ってくれる可能性が高いです。
「クッション言葉」を上手に活用できているのか?
「少々お待ちください」や「恐れ入りますが」といったクッション言葉の使用は、電話応対の質を測る指標となります。
これらの言葉が適切に用いられているかは、業者の育成体制やサービスへの配慮が感じられるため重要です。顧客としては、こんな細かな部分にも気を配る業者であれば、遺品整理の際も同じように丁寧な対応を期待できます。
お願いする場合 | 「おそれいりますが」 |
---|---|
「お手数おかけしますが」 | |
「お忙しいところ申し訳ありませんが」 | |
何かを尋ねる場合 | 「失礼ですが」 |
「差し支えなければ」 | |
断る場合 | 「大変心苦しいのですが」 |
「ご意向に添えず申し訳ありませんが」 | |
相手に落ち着いてほしい場合 | 「さようでございましたか」 |
「おっしゃるとおりです」 |
3.「1式」〇〇円が多い見積書は要注意
見積もり書で「1式」などと一括りにされた料金設定が多い場合、その内訳が不明瞭であることが多く、後に追加料金が発生する恐れがあります。
見積もりを受けた際には、費用の内訳を具体的に聞くことが重要です。それにより、業者が透明性を持って運営しているかどうかがわかります。
また、納得いくまで細かな項目について質問することが、後々のトラブルを避けるためにも必要です。
4.見積書以外に作業請負契約書も持参しているのか確認
遺品整理業者が訪問見積もりの際に、作業請負契約書を持参しているかどうかも大きなチェックポイントです。
契約書には作業内容、料金、予定日などが明記されており、これがないと作業の範囲や費用に関して後から誤解が生じる原因となります。
作業請負契約書をしっかりとチェックし、不明点は事前に解消しておくことが推奨されます。
作業請負契約書に「クーリングオフ」や「追加請求なし」の記載をチェック
作業請負契約書をチェックする際には、「クーリングオフ」の規定や、「追加請求なし」という文言が記載されているかを確認することが大切です。
これらの記載があるかどうかは、業者が消費者の権利を尊重しているかの指標とも言えます。これにより、契約後に不安や疑問が生じた際に、一定期間内であれば無条件で契約解除が可能です。
遺品整理は、作業現場を訪問して見積もりを提示するため、一般的には訪問販売に該当します。
ただし、契約時の状況によっては訪問販売に該当しない場合もあるので、不明な点はお住まいの自治体などが設けている消費生活センターに問い合わせることをおすすめします。
5.遺品の物量や料金の説明に根拠はあるか質問
遺品整理の見積もりでは、どれだけの物量があり、どのように処分するかによって料金が大きく変わってきます。そのため、業者が提供する料金設定や物量の見積もりに合理的な根拠があるかを確認することがカギです。根拠のある説明を受けることで、サービスの透明性が保証され、遺族としても安心して整理を任せることができます。
物量の計測方法は主に以下の3タイプが考えられます。当然、目視だけよりも計測器を使う方が正しい物量の計測に近づきます。
- メジャー・巻尺
- レイザー距離、面積測定器
- 目視のみで計測
また料金の計算方法も納得いくまで質問しましょう。
6.会社案内は代表挨拶、企業理念などしっかりと確認
遺品整理を依頼する業者選びでは、ウェブサイト上の会社案内を入念にチェックすることが不可欠です。
代表の挨拶や企業理念、必要な資格を保持しているか等、その内容から業者の姿勢やサービスの質、さらには整理作業に対する真摯さを見極めることができます。
7.保有資格、企業年数、業界での実績を確認
遺品整理業者を選する際には、その業者が持つ資格や設立からの年数、遺品整理における実績を確認することが重要です。
これらの情報は、業者が長期にわたり安定してサービスを提供しているか、また技術力が確かであるかを示すものであり、安心して任せられる業者かどうかの判断材料となります。
IICRC 国際資格(MIND COMPANY)※日本で言う「特殊清掃」のライセンスです。
資格の重みから言ったら「国家資格または国際資格」「社内資格」「民間資格」の順になるかと思われます。
どんな保有資格があるのかを見るとその会社の方向性が見えてくるでしょう。また企業年数も業者選びには加味しましょう。当然、企業年数が長いほど信頼性は高いです。
最後の「業界での実績」ですが、遺品整理業界は非常に嘘つきが多いので気をつけましょう!絶対に告知を真に受けてはいけません。
例えば創業3年で「作業実績4,000件」と告知している場合は、1年中休まずに営業して毎日4件程度の遺品整理を行っている計算になります。これは非現実的な数字です。遺品整理会社の何%が本当の作業実績だろう?といつも疑問に思っています。
遺品整理のご依頼はマインドカンパニーにお任せください
このガイドでは、遺品整理業者選びの際の重要なポイントを詳しく説明しました。遺品整理は心情的にも難しい作業ですが、この情報を基に適切な業者を見極めすることで、安心して作業を委託することが可能です。
- オペレーターと現場スタッフの対応に相違がないか
- 「名前、電話番号」などを復唱されたか、電話応対マナーを確認
- 「1式」〇〇円が多い見積書は要注意
- 見積書以外に作業請負契約書も持参しているのか確認
- 作業請負契約書に「クーリングオフ」や「追加請求なし」の記載をチェック
- 遺品の物量や料金の説明に根拠はあるか質問
- 社案内は代表挨拶、企業理念などしっかりと確認
- 保有資格、企業年数、業界での実績を確認
この記事がきっかけで、あなたが理想の遺品整理業者と出会えたら幸いです。もし理想の遺品整理業者が見当たらない場合は、当社へのご連絡をお待ちしております。